EspritdeKzhrot’s diary

Pick up the interesting topics of naval security from the U.S. Department of Defense and U.S. Navy trend reports and so on. Also, I will make a note and follow on my ideas.

尖閣への安保5条適用は条約の一般論

 中国で、中国海警局の船に武器の使用を認めることなどを盛り込んだ法律「海警法」が施行され、領海侵入が常態化するなど注目されています。

www3.nhk.or.jp

また、バイデン政権への移行に伴い「尖閣への安保5条適用」が報道を賑わしたのも記憶に新しいところですが、でもそれには、条文を読んだり、ちょっと手間をかけ解説記事を見たりすればわかりそうな誤解がありそうと思っていたところ、元統合幕僚長の岩崎氏による記事を見つけたので整理しておきます。

jp.mobile.reuters.com

以下、記事の要点をメモ。

・日本と米国とは同盟締結国であり、基本的に自国の憲法や法律に違反しない限り、この条約に規定されている事を遵守する義務があり、5条により米国は日本を守る義務がある。

(注:参考に条文を記載)

日米安全保障条約第五条 第五条 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。

尖閣に限らず我が国の施政権の及ぶ地域を米国は守る義務があり、「尖閣事態には安保5条が適用される」事は自明の理である。但し、5条には「施政下にある領域」とあり、現在、日本が領有し、我が国の法律が適用できる地域のこと。

・今回のバイデン次期米国大統領もこのことを述べただけに過ぎず、極めて当たり前のことであるが、新聞各社が第1面で取り上げていた。

・米国はオバマ政権、トランプ政権でも「尖閣事態は安保5条の適用範囲である」と明言しているが、これは現在わが国が当該地域を施政下に入れていると米国が認識しているからであり、かつ条約の一般論を述べたに過ぎない。

・5条には「自国の憲法や手続きに従って」とある。大統領が命令を発出しても議会が許さない場合もあり得る。ドゴール首相の名言「私は同盟国とともに戦うが、同盟国とともに倒れる事はない」。それぞれの国にはそれぞれの事情があり、その事情に応じて他国と約束したことを実行していくのは当たり前のこと。

 

なるほど、「北方領土」や「竹島」は既に日本の施政下にはなく、大統領が明言しようがしまいが、「尖閣も実効支配され日本の施政下でなくなれば」5条は適用されないし、適用されたとしても「米国の憲法や手続きに従って」対処されるので、議会が許さないなどの場合もありということなのですね。