昔はよく新聞くらい読めという話があり、学校では天声人語は試験に出るとか言われていた。
なお、ここで言う新聞は一般紙で、会社員に必須と言われる日経などの専門誌やタブロイドではありません、念のため。
さて、このごろのZ世代においては随分と異なるらしいものの、今でも社会通念で素直に捉えれば、文字の読み書きや読解力の向上に資するし、社会や政治情勢、時事のソースとして有効であったろうし、恣意的に言えば、立場ごとに特定のイデオロギーへの方向付けのツールとして有用だったろうと思う。
でも、たとえば東京新聞と産経新聞の2紙を購読してる人は正反対に近い論調をどう整理してるのだろう。仕事の必要などで全紙に目を通して分析する人はごく限られるだろうし。
新聞を読むことで情報を得ているつもりが、情弱を加速させている側面がありそうなどと思っていた年明け、産経新聞(ネット)に以下の独自とする記事があり、他紙やテレビではコメントも何もなく、正しい情報かどうかもわからないこと。さらには、朝日新聞などであれば論調は逆なのではと思われ、メモしておくことにしました。
以下しばらく、記事の一部抜粋(カッコ内は追記です。)
《独自》「核の傘」日米共同声明に明記へ 首脳会談に向け、政府調整
菅義偉(すが・よしひで)首相と米大統領就任を確実にした民主党のバイデン前副大統領との初の首脳会談で、日本政府が両首脳の共同声明に米国の核兵器で日本の防衛に当たることを明記するよう求める方向で調整に入ったことが3日、分かった。バイデン氏が1月20日に大統領に就任すれば米政権側との協議に入る。複数の政府関係者が明らかにした。 新型コロナウイルス感染拡大などで国際情勢が不安定になっていることを踏まえ、米国による「核の傘」の提供を明確にする狙いがある。
日本側は就任式後に首相の訪米に向けて協議し、共同声明の文言調整も進めたい考え。 (結果ではなく、これからそうしたいという話ですね。)
オバマ政権には核兵器の先制不使用を検討する動きがあった。米国が核兵器を先制使用しないのであれば、中国や北朝鮮は米国の核攻撃を警戒せず、通常兵器で周辺国を攻撃できる。日本政府内にはバイデン氏の大統領就任が確実になったことで、オバマ政権の再来を懸念する声もある。再び共同声明に「核」の明記を求めるのは、新政権にくぎを刺す意味もある。
うーむ。これはしっかりやらないといけない感じですね。
さて、相互確証破壊の記事でも触れましたが、
「核の傘」は、一方が核兵器を先制的に使えば、最終的に双方が必ず核兵器により完全に破壊し合うことを互いに確証するもので、結果的に報復を怖れる故の抑止が働くと言う考えのもと、日本は米国の抑止力の庇護のもと暮らすこととしたということ。似たようなものには、ヨーロッパには米国との間で、必要な時に核兵器を借りる約束をしている国があり、先制にせよ報復にせよ、核兵器使用の判断を自らするか米国に委ねるかの違いがあります。
なお、この基本コンセプトは、映画などで一つのジャンルができるくらい、いろいろなストーリーやその背景に使われていますが、本当にそのとおり機能するか実際に試された事はありません。なにしろ核兵器ですから。
東西冷戦の時代に、米国とソ連は時々緊張を高めましたが、この相互確証破壊のコンセプトを根底から覆すようなことはなく、真実のように信じられていたという結果になりました。
さて、これからもそうか。
長い歴史の経験から一部の私権を制限し、例えば防衛 、報復 、制裁 などを、法と暴力装置に託すことにした文明でも、結果として十分に正義と公平が担保されたとも思えず、2020年の米国大統領選挙に絡みいろいろあった社会の分断を見せつけられたり、ヒーローものや特撮からアニメ、時代劇も恋愛ものも、それぞれ敵とこちらの事情は違えど、暴力には暴力で対抗するのが、今のところの人類の結論なのが救いがないところです。
そして今や米欧の相手は、同じ宗教的背景や似た歴史を持つもの同士ではない異文化の人中国、北朝鮮やイランなどであり、最後の一線で共通のコンセプトが保てるかと不安になります。
2021年にあたり「核の傘」はしっかり議論して頂きたいと願います。
そもそも他国にお願いするのは不本意ですが、ここでは置いておきます。