コントラフリーローディング
労せず手に入れたものより、対価を払い入手したものに価値を見出すというコントラフリーローディング、唯一観察されない生き物は猫なんだそうです。
にゃんこすごい。でも、確かに現実主義とか実利主義的と言われればそうかもしれませんが、ハンティングの遊びに夢中になるのに、その手間を惜しむとか、その行為に価値を見出さないとは思えません。
我が家の猫にすれば、レバーを押すなんて実験はつまらな過ぎて単に興味を引かなかっただけじゃないのと言っていますが。
さてそのコントラフリーローディングは、人にも当てはまり、思い当たる節はありますね。
理系工科系で現場主義を刷り込まれている、自らをエンジニアとする人は、おそらく今だに「モノ作りで得る金は、金融や投資で得る金より尊い」と信じているでしょう。努力して得た対価に価値があると。もちろんマネーゲーム的に稼ぐことの労力を、理屈では否定しませんが、額に汗して稼ぐ成果物により価値があるとし、それが技術立国、輸出立国としてこの日本経済を支えている思っているでしょう。
果たしてそれは事実か、財務省の諸表などみれば一目瞭然のはずですが、あまり気に留めた事はありません、日本は、原料や資源を輸入、自動車などを製造して輸出することで外貨を得て、それによりエネルギーなど輸入し経済を回している……、と社会科で教わった様な気がするし。
ところが現状では、利息や配当など第1次所得収支が経常収支のプラスの多くを占め、社会科の貿易立国は、実は投資立国になっいるようです。
貿易による黒字、これももちろん頑張っているものの、投資の収益や配当、利息、外国に置いた子会社からの利益など、金融収支などの黒字が大きく、製造業を中心とした儲けより、金融による儲けが、国の豊かさを支えているそうです。
自分の生活を支える収入もそうでした。
なのになお技術立国、工業立国を支える日本人の勤勉さは、一つのドラマとして広く信じられているようです。
その方が夢があると感じるのは、コントラフリーローディングでしょうか。
日本人口は1億2000万人余で世界10位くらい、これは世界で少ない方ではない、と実感している人は少ないのでは、さすがに都内は人が多いけれども。
その日本人が稼ぎ出す名目GDPは、アメリカ、中国に次ぐ世界第3位、少し前までは中国より上の第2位でした。
天然資源も少なく、農業面積も限られる山岳森林の国で、1.3億人中約半分の労働者が勤勉に働き、少子高齢化とはいえ製造業も健在です。
被害甚大な地震や台風にも耐える原動力はなにか、日本人の心は、金融のための努力よりも製造業の努力を、対価としてより価値があるとするあたりの、文化的、歴史的側面に密接に関係しているのではと思います。
サピエンス全史に言われる、稲作の発展は人を奴隷化し、人類を米のDNAの拡散に貢献させたとの説に似た、何らかの支配関係が、無機物機械などの産業と人との間に観察されるのか調べたいもの。